システムエンジニアの大手企業ってどこだろう。年収や福利厚生が良いと聞くけど、デメリットはないのかな。どうやったら就職できるかも知りたい。
こんな人向けに書いてみました。
システムエンジニアが働く、SIer(システムインテグレータ)業界の大手企業は、クライアントから仕事を直接受注する、元請け企業であることが多いです。
- 大手企業 → 元請け / 上流工程
- 中小企業 → 下請け / 下流工程
大手企業はシステム開発の上流工程(要件定義、設計など)をメインで担当し、中小企業に下流工程(製造、試験など)をアウトソーシングします。
大手SIerはピラミッドの頂点
SIer業界はピラミッド構造となっており、その頂点にいるのが大手企業です。仕事を安定的に受注でき、利益率が高いため、平均年収が800万〜1,000万とお高め。福利厚生もしっかりしており、大手SIerに勤める会社員は、かなり優遇されています。
大手SIerで10年働いた自分が「大手企業システムエンジニア」のあれこれをまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
システムエンジニアの大手企業【売上編】
SIerの大手企業を売上でみると…
(外資系の企業を除きます)
2020年3月期または2021年3月期の売上です。
企業 | 売上 |
---|---|
富士通 | 3兆5,897億円 |
NEC | 2兆9,940億 |
NTTデータ | 2兆3,187億円 |
日立製作所 (IT部門のみ) | 2兆487億円 |
電通国際情報サービス | 1兆867億円 |
NTTコミュニケーションズ | 1兆704億円 |
大塚商会 | 8,363億円 |
野村総合研究所 | 5,504億円 |
日立システムズ | 5236億円 |
伊藤忠テクノソリューションズ | 4,798億円 |
富士通、NEC、日立の3社は、自社製品の販売も手掛けており、メーカー系SIerとも呼ばれます。純粋なシステムインテグレータ業に絞ると、国内最大手はNTTデータです。その後にISID、NTTコミュニケーションズと続きます。
次は年収ランキングをみていきましょう。
システムエンジニアの大手企業【年収編】
SIerの大手企業を年収でみると…
(外資系の企業を除きます)
企業 | 年収 |
---|---|
野村総合研究所 | 1,225万円 |
電通国際情報サービス | 1,047万円 |
オービック | 933万円 |
伊藤忠テクノソリューションズ | 921万円 |
日立製作所 | 890万円 |
富士通 | 865万円 |
日鉄ソリューションズ | 855万円 |
都築電気 | 851万円 |
大塚商会 | 843万円 |
NTTデータ | 841.6万円 |
NEC | 829万円 |
ネットワンシステムズ | 825万円 |
日本ユニシス | 809万円 |
ビジネスエンジニアリング | 804万円 |
ここまでが平均年収800万超えクラス。
各企業の平均年収は「Yahoo!ファイナンス」の企業情報をみるか、金融庁の「EDINET」で各企業の有価証券報告書をみるとわかります。
EDINETの使い方(簡易版)
- 書類検索で「企業名」を入力する
- 検索結果で「報告書」を参照する
- 報告書の「従業員の状況」をみる
- 従業員の「平均年間給与」がわかる
大手企業システムエンジニアの仕事内容
大手企業SEの仕事内容をみていきます。
最初の内容をおさらいすると…
- 大手企業 → 元請け / 上流工程
- 中小企業 → 下請け / 下流工程
ここからさらに踏み込むと…
- 大手企業SE → マネージャー寄り
- 中小企業SE → プログラマー寄り
大手企業のシステムエンジニアは、システム開発の上流工程をメインで担当します。仕事内容は「営業 × コンサル × マネージャー」みたいな感じ。とにかく調整ごとが多いです。
顧客とプログラマーの間で動く
大手企業SEは、顧客とプラグラマーの間で動くため、中間管理職的なポジションになります。双方と調整しながら、合意を得ながら、システム開発を完遂するのがミッションです。
すべての工程で調整がある
大手企業システムエンジニアは、上流工程だけやるわけではありません。下流工程では、試験のスケジュールや進め方を決めたり、結果確認や顧客報告もやります。サービス開始に向けた計画や、稼働後のマニュアル準備など。プロジェクト完遂のために奔走する、なんでも屋です。
ざっくりこんな仕事が多いです。
- プロジェクト関係者との調整
- スケジュール・進捗管理
- 課題管理・問題解決
プロジェクト関係者と調整する上で、必要な「資料作成」「ミーティング開催」「電話やメールのやり取り」などを、主体的に進めていくことになります。
また、納期に向けて遅れがないか確認したり、遅れそうな原因を突き止めて解決するのも、大手企業SEのミッション。顧客に頭を下げたり、プログラマーさんを鼓舞することも多いです。
大手企業システムエンジニアのメリット
大手企業SEのメリットは…
- 【待遇】給料や福利厚生が良い
- 【技能】マネジメントが身に付く
- 【経験】大きな仕事に関われる
最大のメリットは、給料や福利厚生が良いこと。その他にもマネジメントスキルが身に付いたり、社会を支えるような大きな仕事に関われるのも魅力です。
給料や福利厚生が良い
大手企業システムエンジニアの年収は、800万〜1,000万クラスです。SIerトップの野村総研(NRI)だと、年収1,200万円以上の超高級取りになります。
- 全業種平均 → 436万円
- 情報通信業 → 599万円
- 大手SI → 800万円以上
- 野村総研 → 1,200万以上
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、システムエンジニアが働く、情報通信業の平均年収は「599万円」で、全業種の平均年収「436万円」より150万円も高いです。大手SIerの場合、そこからさらに200万円も高くなります。
30代前半で年収800万円
実際、自分が大手企業システムエンジニアだった頃、30代前半で年収800万円ほどでした。残業が多いとかもなく、裁量労働で出勤や退社をコントロール可。働きやすかったです。
福利厚生もほぼ全てありました。家賃補助、年休20日/年、特別休暇、持ち株、財形貯蓄など。自社ビルは駅直結で社員食堂あり。退職金は10年で800万ほど(基本額500万、自己積立150万、持ち株150万)でした。
マネジメントが身に付く
大手企業システムエンジニアは、マネジメントスキルが身に付きます。また、新入社員や若手時代から、顧客や協力会社の年配の方々と仕事をするため、早くから社会人やビジネスマンの処世術を習得可能です。
入社2年目でリーダー
自分は入社2年目でプロジェクトリーダーを経験。(プロパーは課長と2人、パートナー数名の小規模案件ですが…)ここでプロジェクトの進め方や、顧客や協力会社とのやり取りなど、仕事の基礎を学ばせていただきました。
大きな仕事に関われる
大手企業システムエンジニアは、社会を支える大規模システム、大きな仕事に関われます。この社会貢献がやりがいに繋がることもあるでしょう。
自身の経験をふりかえると…
- 大手アパレル企業のECサイト立ち上げ
- 大手百貨店の通販システムの運用保守
- 大手通信業の位置情報サービスの構築
- 大手流通業の新規Webサービスの構築
などなど。
誰もが知っている有名企業と、何度も一緒に仕事をさせていただきました。特に大きなものだと、メンバーが1,000人以上の超大規模プロジェクト。自分が毎日使っている、身近なシステムなどもあります。
大手企業SEの顧客は、上場企業や官公庁など。人脈づくりが上手な人だと、それ資産に変えて転職する人もいます。顧客側からオファーがきたり、ヘッドハンティングされる人もいました。
ここまでの内容をおさらいすると…
大手企業SEのメリット
- 【待遇】給料や福利厚生が良い
- 【技能】マネジメントが身に付く
- 【経験】大きな仕事に関われる
大手企業システムエンジニアのデメリット
大手企業SEのデメリットは…
- 【技能】プログラミングが身に付かない
- 【将来】ジョブチェンジがちょい難しい
もっともデメリットになりやすいのは、プログラミングスキルが身に付かないこと。マネージャーの技能は身に付くものの、技術的な仕事はアウトソースしてしまうため、独学しないと身に付きません。
プログラミングが身に付かない
大手企業システムエンジニアは、仕事でプログラミングを使いません。実際、自分は10年間で一度もコーディングしていないです。そのため、SE歴10年でプログラミングスキルは基礎以下。なんとなく読めるけど、書くのは無理です。
割り切るか、独学するか
プログラミングを仕事で使わない以上、割り切って習得しないか、独学で習得するかになります。独学するにも実践なしで身に付けるのは困難。モノにするには自作アプリやサービスをつくるなど、努力が必要です。
ジョブチェンジがちょい難しい
大手企業システムエンジニアは、ある意味で会社員のゴールといえます。ここから先に進むのは難易度が高く、定年まで居続ける道を選ぶ人も多いです。実際、退職前の自分もそう考えていました。
主なジョブチェンジは2つ。
- ハイクラス転職する
- 独立・企業する
このあたりは【経験談】大企業を辞めたい人への3つの提案【人生について考えよう】にまとめてみました。興味のある人は読んでいただければ幸いです。
マネジメントで独立は厳しい
自身のは大手企業SEからフリーランスになったわけですが、マネジメントスキルだけで独立するのは厳しいです。ぶっちゃけると、個人で稼ぐならプログラミングスキルのが有利。つまり、独立するなら大手企業SEより、中小企業SEの方が向いています。
ここまでの内容をおさらいすると…
大企業SEのデメリット
- 【技能】プログラミングが身に付かない
- 【将来】転職するときに困ることがある
大手企業システムエンジニアになる方法
最後は大手企業SEになる方法です。
- 転職組 → エージェントを使う
- 大学生 → 学歴不問の裏技を使う
- 高校生 → ランクの高い大学へ行く
転職組の人はエージェントを使いましょう。必要に応じて、ハイクラスに強いところを利用するとGood。リクルートが運営する「リクルートダイレクトスカウト」などがあります。
大手企業SEには学歴が求められるため、大学生でちょっと自信ないという人は、【元SE談】システムエンジニアに学歴は関係あるの?【結論はあります】の裏技を参考にしてみてください。高校生の人は、少しでもランクの高い大学へ行くと、入社確率がアップします。
大手企業SEを目指す高校生へ
以上、
システムエンジニアの大手企業まとめでした。大手SIerに入るイメージ、大手企業SEで働くイメージを掴めたでしょうか。自身の10年間をふりかえると、辛いこともたくさんありましたが、会社員として優遇されていたなと実感しています。
より良いSEライフを目指して挑戦しよう♪