システムエンジニアは残業が多いとか、ブラックとかよく聞くけど、本当なのかな。SEに転職しても大丈夫なのか知りたい。
こんな人向けに書いてみました。
結論から申し上げると、システムエンジニアの残業は、それほど多くありません。システムエンジニアが働く、情報通信業の平均残業時間は、令和2年で14.8時間/月となっています。
自分がシステムエンジニアとして働いていた、2007年から2017年までの10年間をふりかえると、前半のピークで80〜100時間くらい。過労死が騒がれた2013年頃から減っていき、後半は多くても30時間ほどでした。
SE歴10年の視点からシステムエンジニアの残業についてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
システムエンジニアは残業が多いのか?
SEの残業はそこまで多くありません。
厚生労働省が取りまとめている「毎月勤労統計調査」によると、令和2年の情報通信業の平均残業時間は「14.8時間/月」となっており、1日あたり1時間未満です。
ただ、全業種の平均残業時間「9.2時間/月」より多く、全16業種中で4番目と上位であることも確かです。そのため、システムエンジニアの残業は、それほど多くないものの、全体でみると少し多いと言えるでしょう。
SEの残業は減少傾向
システムエンジニアが働く、情報通信業の残業時間は減少傾向にあります。緩やかではあるものの、業界平均の10時間/月に近づいており、SEの長時間労働が改善されてきている、一つの目安です。
ここまでの内容をおさらいすると…
- SEの残業はそこまで多くない
- 情報通信業の残業は14.8時間/月
- 情報通信業の残業は4位でやや高め
- 情報通信業の残業は減少傾向あり
- SEの長時間労働は改善されつつある
システムエンジニアと他業種の残業比較
システムエンジニアの働く、情報通信業と他業種を比べると、より残業時間が減少傾向であることがわかります。というのも、2005年から2016年までずっと全体2位だったのが、2017年から3位以下に下がったからです。
西暦 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
2005年~2014年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 製造業など |
2015年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 製造業 |
2016年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 電気・ガス業 |
2017年 | 運輸業・郵便業 | 製造業 | 情報通信業 |
2018年 | 運輸業・郵便業 | 製造業 | 電気・ガス業 |
2019年 | 運輸業・郵便業 | 鉱石・採石業等 | 製造業 |
2020年 | 運輸業・郵便業 | 鉱石・採石業等 | 電気・ガス業 |
■情報通信業の順位 ・2018年は7位 ・2019年は4位 ・2020は4位 |
情報通信業の残業順位は、2017年に3位となり、2018年には7位まで大きく順位を下げました。その後、2019年と2020年で4位まで戻したものの、残業時間が減少傾向にあることは間違いないでしょう。
残業1位は運輸業・郵便業
今回チェックした2005年から2020年まで、全ての期間で残業1位となっていたのが「運輸業・郵便業」です。業界知識がないのでわかりませんが、システムエンジニアより遥かにブラック臭が漂っています。
なぜSEはブラックなイメージなのか?
なぜSEはブラックなイメージなのか。
- 3K超えの7K
- デスマーチ
- 真面目すぎる日本人
元システムエンジニアの視点から、この3つを挙げてみました。全て過去の遺産になりつつありますが、現代でも拭い切れないほどのインパクトがあったのだと、改めて気づかされます。
システムエンジニアの7K
一時、システムエンジニアは、劣悪な労働環境から7Kと揶揄されたことがあります。一般的には3K(きつい、帰れない、給料が安い)でも厳しいところ、さらに4K(規則が厳しい、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない)が追加されました。
デスマーチとは、長時間の残業や徹夜・休日出勤の常態化といった、プロジェクトメンバーに極端な負荷・過重労働を強い、通常の勤務状態では成功する可能性がとても低いプロジェクト、およびこれに参加させられている状況を指す。
by: ウィキペディア(Wikipedia)
自身もデスマーチ的なプロジェクトを何度か経験しています。ただ、今思うのは「なぜそこまで頑張る必要があったのか」です。ここに日本人特有の真面目さが関係しているのかなと感じます。
当時のマインドがこちら。
- 何が起きても絶対に納期を守る
- 顧客に指摘されたら忠実に従う
- 人手不足でも気合いで乗り切る
- 自分一人頑張ってなんとかする
- みんな残業してるから当たり前
今考えると意味不明です。詳しくは後述しますが、「会社の仕事」より「自分の健康」の方が圧倒的に大切なので、無理する必要はありません。また、命を懸けたところで、劇的に給料アップ!とかないので無意味です。
SEでブラックを避けるのに必要なこと
最後にブラックを避けるのに必要なことを考えてみました。これからシステムエンジニアとして働く人はもちろん、会社員として仕事をしていく人に、知っておいてほしいことをまとめております。
会社員の心得4つ
- 会社に依存しないこと
- 自分の身は自分で守る
- 敢えて空気を読まない
- サービス残業はやめる
上から順番に重要です。これはシステムエンジニアとして10年、会社員として10年働いた経験からわかったことで、当時の自分に伝えられるならという気持ちで書いています。
会社に依存しないこと
- Good:今の会社がダメなら転職する
- Bad:今の会社がダメだと人生終わり
会社に依存してしまうと、会社のために働きすぎる、残業しすぎる、頑張りすぎる、という状況になりがちです。また、上司や先輩が間違っていても指摘できないなど、自分という存在がどんどん失われていきます。
これを避けるには、自分の市場価値を高めなければなりません。いつクビになってもOK、それくらいの気持ちで働けるのが理想です。会社は人生そのものではなく、人生の一部であることを忘れないようにしましょう。
自分の身は自分で守る
- Good:自分のカラダを最優先にする
- Bad:自分のカラダが壊れるまで働く
システムエンジニアとして働いていた頃、明らかにカラダを壊して、左遷されたような人をたくさん見てきました。また、身近な同僚や同期にも、鬱で来れなくなった人など、ココロを壊した人も多くいます。
20代半ばで関節リウマチ発症
自分も仕事と私生活を無理しすぎたせいか、20代半ばで関節リウマチを発症してしまいました。直接的な原因とは言い切れないものの、1つの要因になったと感じています。
多くの人はカラダを壊すまで働いて、会社より自分を優先するべきだった、仕事より健康を優先するべきだったと気付きます。ただ、それでは遅いです。特にストレスは万病の元、ご注意ください。
敢えて空気を読まない
- Good:やることをやったので帰る
- Bad:上司や先輩がいるから残る
上司や先輩が帰らないので、空気を読んで残ったり、無理矢理やることを探してしまうパターンがあります。ここは敢えて空気を読まず、帰ることを徹底すべきです。
社内得点よりスキルアップ
上司に気に入られると昇進が早い。これは10年間の会社員経験から、ほぼ正しいと言えます。ただ、その会社でしか使えない得点を稼ぐより、スキルを身に付けて市場価値を高める方がもっと重要です。
システムエンジニアには将来性があるものの、キャリアをしっかり考えておかないと、その会社でしか生きれない、つぶしのきかないSEになってしまう可能性もあります。
サービス残業はやめる
- Good:1分過ぎたら残業申請する
- Bad:30分までは残業申請しない
ちょっと極端に書いていますが、このくらいの気持ちでという意味です。1分を侮るとなぁなぁになり、そのままサービス残業の沼にハマってしまうこともあるので、ご注意ください。
また、朝の5〜15分くらいの遅刻が常態化している、ルーズな職場だと残業も曖昧になりがちです。自分だけは絶対に遅刻しない、だからサービス残業もしないと固く誓い、時間を大切にしましょう。
もう一度おさらいすると…
会社員の心得4つ
- 会社に依存しないこと
- 自分の身は自分で守る
- 敢えて空気を読まない
- サービス残業はやめる
これらに共通するのは、会社よりも自分の優先度を高くすること。「会社はお金を貰うところ」ではなく、「自分のスキルアップのために利用するところ」、そんな認識で働くと良いかもしれません。
以上、
システムエンジニアの残業についてでした。
SEがもっとも多く働いている、情報通信業の残業は「14.8時間/月」でそこまで多くないです。また、残業時間は減少傾向にあり、今後さらに働きやすくなるかもしれません。