システムエンジニアには数学が苦手でもなれるのかな。SEは理系の人が活躍するイメージだし、文系の自分がきちんと仕事できるか不安。
こんな人向けに書いてみました。
結論から申し上げると、システムエンジニアには数学が苦手でも、文系卒でもなれるし、活躍できる職業です。自身はSE歴10年ですが、数学が役立った、理系卒で良かったと感じたことはありません。
IT技術者の最終学歴
IT人材白書2017によると…
(最新の公開データ)
文理 | 学部 | 割合 |
---|---|---|
文系 | 文学系 | 5.9% |
社会学系 | 2.4% | |
経済・経営学系 | 14.7% | |
その他文系 | 3.5% | |
理系 | 情報系 | 38.9% |
理学系 | 7.9% | |
工学系 | 14.9% | |
その他理系 | 2.2% | |
大学以外 | 5.6% |
IT人材の3割は文系卒です。
また、企業規模が大きくなるほど、文系卒が多くなることもわかっています。実際、自分が勤めていたSIerでは、新入社員500名のうち4〜5割は文系卒でした。
このことからも、数学が苦手でも文系卒でも、システムエンジニアとして活躍できることがわかるでしょう。
SE歴10年の視点からシステムエンジニアと数学の関係性についてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
SEに数学が苦手でもなれる理由とは?
SEに数学が苦手でもなれる理由は…
- SEの仕事で数学は使わない
- SEの基礎は新人研修でOK
- SEはスキルより経験が重要
元SEの視点からこの3つを挙げます。
1つずつ詳しくみていきましょう。
SEの仕事で数学は使わない
システムエンジニアの仕事で、高等な数学能力が求められることはありません。これは上述した通り、国内最大手のSIer(システムインテグレータ)が、文系卒を大量採用することからも明らかです。
大学時代の経験を見ている
新卒のシステムエンジニア採用では、大学時代に学んだITスキルや技術知識より、どんな経験をして何をしてきたかを見ています。特にヒューマンスキル(対人間関係能力)が重要です。
SEの基礎は新人研修でOK
新卒でシステムエンジニアになる場合、システム開発の基礎は、新人研修で学べます。そのため、数学が得意でも苦手でも、理系でも文系卒でも、同じスタートラインに立てるので安心です。
新入社員研修は3ヶ月
自身の新卒時代をふりかえると、新入社員研修は3ヶ月でした。この期間にシステム開発の基礎はもちろん、社会人に必要なスキルを身に付けていきます。因みに数学を使うことはありません。
新卒が優遇される一方、中途採用(第二新卒を除く)は即戦力を求められます。そのため、転職でシステムエンジニアになるには、独学やオンラインスクールなどで、基礎を身に付けておくことが必要です。
因みにシステムエンジニアとプログラマーは似て非なるもの。両者の違いがよくわからないという人は【徹底比較】システムエンジニアとプログラマーの違い【元SEの視点】を参考にしてみてください。
SEはスキルより経験が重要
SEに求められるスキルは…
- コミュニケーション
- マネジメント
- リーダーシップ
- ロジカルシンキング
システムエンジニアの仕事は、スキルより経験が生きる仕事です。そのため、数学能力より対人能力が優れている方が有利。一方、プログラマーは経験も大事ですが、プログラミングスキルが必須の職業になります。
SEに必要なのは数学より論理的思考力
SEは数学より論理的思考力が必要です。
- システムを矛盾なく組み立てる
- 関係者調整で矛盾なく説明する
システムエンジニアに論理的思考力(ロジカルシンキング)が求められるのは、システムを設計するときに、論理立てて矛盾なく組み立てておかないと、あとで破綻してしまうからです。
やり直しのインパクト大
システム開発は「要件定義」→「設計」→「製造」→「試験」と進み、後工程になればなるほど、そのリカバリーが難しくなります。納期順守のため、後半でやり直しになると炎上確定。これを避けるには、初めからロジカルに考えることが重要です。
もう1つは関係者調整で役立ちます。
顧客とプログラマーを動かす
SEは顧客とプログラマーを動かす仕事が多いです。その際、論理的に説明できると相手に納得してもらいやすく、資料作成、プレゼン、打ち合わせなどでも役立ちます。
自分が新人研修を終えて、初期配属されたとき、先輩から「ロジカルシンキング」の本を渡されました。当時はよくわからないまま読んだものの、今考えるとSE入門編だったと気づけます。
SEに必須なのはコミュニケーション力
SEは数学よりコミュ力が必須です。
自身の経験上、システムエンジニアは話せれば何とかなる、そう考えています。とにかく人と関わることが多く、コミュニケーションスキルなしで仕事をするのは厳しいです。
SEは人相手・PGはパソコン相手
システムエンジニアとプログラマーは、ごっちゃになりやすいのでご注意ください。SEは人相手の仕事が多く、PGはパソコン相手の仕事が多いです。ずっとパソコンをカタカタするのは、SEではなくPGになります。
SEには得意分野を生かせる職種がある
SEには得意分野を生かせる職種があります。
数学が苦手なSEキャリア(案)
- ブリッジエンジニア
- Webエンジニア
- ITコンサルタント
元SE視点で3つのキャリアを挙げてみました。ブリッジエンジニアは語学、Webエンジニアはデザイン、ITコンサルタントは経営学がそれぞれ生かせるSEです。ご参考までに。
ブリッジエンジニア
ブリッジエンジニアは、海外企業とのやり取りをサポートするSEです。中国、インド、ベトナムなどと進めるオフショア開発や、海外ベンダーの製品利用、自社の海外進出など、グローバルなプロジェクトで活躍します。
Webエンジニア
Webエンジニアは、WebサイトやWebアプリケーションに特化したSEです。利用者目線で考えることが求められ、デザインスキルや心理学が生きます。数学に強い理系よりも、美術などに強い文系が向いているかもしれません。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、顧客の経営課題をシステムで解決する、プロフェッショナルSEです。システム開発だけでなく、ビジネスにも精通している必要があり、経済学や経営学を生かせる、文系卒が有利でしょう。
以上、
SEに数学が苦手でもなれる理由でした。
システムエンジニアは資格がなく、理系や文系に関わらず、誰でも挑戦できる職業です。IT分野での経験は、将来的にも役立つことも多く、個人的にもおすすめします。
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