SEとプログラマーはどっちがいいのかな。プログラマーに魅力を感じるけど、SEの方が待遇が良いと聞くし悩んでいる。SEとプログラマーの違いを詳しく知りたい。
SE歴10年の自分がお答えします。
システムエンジニア(SE)とプログラマー(PG)の違いは、家を建てるときの「建築士」と「大工」をイメージするとわかりやすいです。
- 設計図を書く → SE・建築士
- 設計図通り作る → プログラマー・大工
SEの仕事はシステムの設計図を書くこと。その設計図通りにシステムを作るのがプログラマーです。これはIT業界全般で同じような関係性が成り立ちます。
いくつか例を挙げると…
業界 | 設計者 | 実装者 |
---|---|---|
インターネット・Web | Webエンジニア | プログラマー |
ソフトウェア | ソフトウェアエンジニア | プログラマー |
情報処理サービス・SIer | システムエンジニア | プログラマー |
ただ、IT業界では建築士と大工ほど、きっちり役割分担をしていない企業も多く、エンジニアが実装したり、プログラマーが設計したりは日常茶飯事。どちらもできる人をエンジニアと呼ぶこともあります。
新卒で大手SIerに入社し、SEとして10年働きました。多くのプログラマーさんと仕事をしてきた経験をもとに、両者の違いについてわかりやすく、ポイントを絞って解説しております。
SEとプログラマーの役割の違い
SEとプログラマーの役割の違いは…
- SE → システムを描く人(設計者)
- PG → システムを作る人(実装者)
SEはどんなシステムにするか、そのイメージを描いて、システムの設計図をつくるのがミッションです。一方、プログラマーはSEの作成した設計図をもとに、プログラミングでシステムをつくる役割を担います。
システム開発の流れでみる役割分担
- 要件定義:顧客要望を明確にする
- 設計 :設計書を完成させる
- 製造 :プログラミングで実装する
- 試験 :設計書通りに動くか確認する
- 納品 :顧客にシステムを納品する
SEとプログラマーは、システム開発の流れでみると、担当工程が違います。SEは上流工程と呼ばれる要件定義や設計をメインに担当し、プログラマーは下流工程と呼ばれる製造や試験をメインに担当します。
ただ、SEとプログラマーは役割こそ違えど、システムを完成させる目的は同じ。お互いに協力しながら二人三脚で働く、とても重要なパートナーです。
SEとプログラマーの仕事内容の違い
SEとプログラマーの仕事内容の違いは…
- SE → 顧客要望から設計書をつくる
- PG → 設計書からプログラムをつくる
SEの仕事内容は、顧客のつくりたいシステムを設計書にして、プログラマーに伝えること。一方、プログラマーの仕事内容は、設計書をみながらプログラミングで実装していくことです。
システムエンジニアは中間管理職
SEは顧客とプログラマーに挟まれた、中間管理職的なポジションになります。そのため、双方のバランスを取りながら、円滑にシステム開発を進めていく、マネージャーっぽい仕事が多いです。
SEとプログラマーの仕事内容の違いは、そのままワークスタイルの違いに繋がります。SEは意思決定に向けて、会議や打ち合わせをすることが多く、プログラマーはパソコンに向き合って、もくもくと作業することが多いです。
SEとプログラマーのスキルの違い
SEとプログラマーのスキルの違いは…
- SE → ヒューマンスキル
- PG → プログラミングスキル
どちらのスキルも必要ではあるものの、それぞれ重要なスキルが違います。SEはヒューマンスキル、プログラマーはプログラミングスキルが最重要です。
ヒューマンスキルとは、良好な対人関係を構築するスキルのことで、7つの構成要素があります。SEは顧客やプログラマーをはじめ、関係者との調整が多いため、このヒューマンスキルが必須です。
7つの構成要素はこちら。
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- ネゴシエーション能力
- プレゼンテーション能力
- コーチング能力
- ヒアリング能力
- 向上心
SE歴10年の観点から優劣をつけるなら、もっとも大切なのはコミュニケーション能力です。次いでリーダーシップ、ネゴシエーション、プレゼンテーション、ヒアリング、この4つが同率で続きます。
SEとプログラマーの年収の違い
SEとプログラマーの年収の違いは…
- SEの平均年収(目安)→ 550万
- PGの平均年収(目安)→ 400万
一般的にSEの年収は高く、プログラマーの年収は低くなります。この収入の格差は、仕事の難易度やスキルではなく、SIer(システムインテグレータ)業界の構造によるところが大きいです。
ITゼネコンのピラミッド構造
SIer業界は、大企業が元請けとなり、中小企業や開発会社に仕事をアウトソーシングしていく、多重下請けの体質があります。このピラミッド構造こそ、SEとプログラマーの収入差をつくる、超えられない壁の正体です。
そのため、SIer業界で働くならプログラマーよりSE、中小企業より大企業が優遇される、これはSE歴10年の経験からも断言できます。
したがって、プログラマーとして働くならSIer以外がおすすめです。インターネット・Web業界や、ソフトウェア業界など、自社でサービスをつくる企業なら、多重下請けの影響を受けることもありません。
SEとプログラマーの将来性の違い
SEとプログラマーの将来性の違いは…
- SEの将来性 → ある
- PGの将来性 → ある
IT社会において、SEとプログラマーは、とても重要な存在です。そのため、将来性はどちらもありますが、両方できる人が生き残る、そんな時代が来るのではないかと考えています。
シリコンバレーのエンジニア
IT企業の聖地として知られる、シリコンバレーのエンジニアは、SEとプログラマーどちらのスキルも持っています。さらにビジネスに精通し、クリエイティブな発想もできる、圧倒的なスペシャリストです。
この基準で考えると、技術力のないSE、指示通りに動くだけのプログラマーは、将来的に淘汰されていくかもしれません。実際、自身も技術力のないSEとなり、漠然的な不安を感じていたのを覚えています。
SEとプログラマーのキャリアの違い
SEとプログラマーのキャリアの違いは…
- SE → 大企業のSE、ITコンサル
- PG → 大企業のSE、フリーランス
SIer業界で働くという前提であれば、ピラミッドの頂点を目指すことになります。そのため、プログラマーはSEを目指し、SEは元請けの大企業を目指す、これがもっともわかりやすいキャリアプランです。
大企業SEまで辿り着いた人は、そのまま働き続けるか、ITコンサルタントを目指すのが鉄板。プログラマーの下積みを経ているなら、フリーランスSEとして活躍する道もあります。
SEとプログラマーはどっちがいい?
SEとプログラマーはどっちがいいのか…
(個人的な観点です、ご了承ください)
- 会社員で生きるならSE
- 独立して生きるならPG
SIer業界のピラミッド構造がある以上、会社員で生きるならSEが望ましいです。ただ、独立を考えているのであれば、プログラマーをおすすめします。
これはSEで磨かれるヒューマンスキルよりも、プログラマーで磨かれるプログラミングスキルの方が、個人で稼ぐのに適しているからです。
プログラミングは副業向きでもある
プログラミングは、副業で稼ぎやすいのもメリットです。プログラマーは、会社員としてはSEより待遇が良くないものの、独立や副業のことを考えると、将来的なリターンが大きいと言えるかもしれません。
以上、
SEとプログラマーの違いについてでした。
おさらいすると…
項目 | SE | プログラマー |
---|---|---|
役割 | システムを描く人 | システムを作る人 |
仕事内容 | 顧客要望→設計書 | 設計書→プログラム |
スキル | ヒューマンスキル | プログラミングスキル |
平均年収 | 550万(目安) | 400万(目安) |
将来性 | 両方できるエンジニアが生き残る | |
キャリア | ・大企業のSE ・ITコンサル | ・大企業のSE ・フリーランス |
おすすめな人 | 会社員で生きる人 | 独立して生きる人 |
良きエンジニアライフをお過ごしください♪