システムエンジニアを目指したいけど、仕事がきついとか、辛いとかよく聞くから不安。そもそも自分に勤まるかもわからない。やっぱりSEになるのは、やめておいた方がいいのかな。
こんな人向けに書いてみました。
自分は国内最大手のシステム開発会社(SIer)で、システムエンジニアとして10年間働いた経験があります。メンバーが1,000人以上の超大規模プロジェクトから、5人以下の小規模プロジェクトまで、幅広く仕事をさせていただき、多くの人と関わらせていただきました。
システムエンジニアの7K
一時、システムエンジニアは、劣悪な労働環境から7Kなどと揶揄されたこともあります。一般的には3K(きつい、帰れない、給料が安い)でも厳しいところ、さらに4K(規則が厳しい、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない)が追加されたのです。
ご安心ください。昔がどうだったかは置いといて、今はそれほどキツいということはありません。自分が働いたのは2007年から2017年ですが、過労死が騒がれた2013年〜2015年あたりから、劇的に働きやすくなりました。
また、IT社会において、システムエンジニアは、とても重要な存在です。今すぐ活躍できるのはもちろん、将来的なポジションが約束された職業のひとつ。SEのキャリア設計も紹介するので、良かったら参考にしてみてください。
正社員でシステムエンジニア10年と、派遣社員でシステムオペレーター5ヶ月の経験があります。さらに現在はIT系フリーランスで生きているため、多角的な視点からSEについて解説できるはずです。
システムエンジニアはきついって本当?
システムエンジニアはきついのか。
まず、自分が働いていたころを思い出すと、キツいときもあったけど、キツくないときもありました。入社当初は、1ヶ月の残業が80〜100時間もありましたが、2013年以降は多くても30時間くらい。フレックスタイムで働きやすかったです。
では、なぜ「システムエンジニアはきつい」とよく聞くのか。10年間現場をみてきた中で、これが理由だろうなと思うことをピックアップしてみました。
SE特有のきついところ
- 予定外タスクで残業になりやすい
- システムトラブルで呼び出される
- 他業種と比べて夜勤や休出が多い
- 下請けになるほど給料が安くなる
- 一次請けは板挟みでストレス甚大
1つずつ詳しくみていきましょう。
SEは予定外タスクで残業になる
システムエンジニアでは、どれだけ綿密な計画を立てても避けられない、予定外タスクがあります。それに伴い、突発的な残業が発生しやすいところが、きついと言われる要因の1つでしょう。
というのも、システム開発は上流工程の「要件定義→設計」から、下流工程の「製造→試験」と進むのですが、上流で描いたシステムイメージと、下流でつくられるシステム試作品が、完全一致しないからです。
後半にしわ寄せがくる
特にクライアントがシステムに弱いと、上流ではSEさんにお任せ!で進むものの、下流でいざ実物をみてみると「あぁしたい、こうしたい」「こうじゃなきゃダメ!」「金払うからやれ!!」みたいになります。
自分もこの後出しじゃんけんパターンを何度も経験しています。もちろん、計画時点でバッファーを積むのですが、多すぎると見積もりで弾かれ、少なすぎると痛い目をみるという、非常にシビアな部分です。
因みにシステムエンジニアには、ドMな人が多く(←所感です)、プロジェクト後半で忙しくなると、なぜか燃えてくるという変態タイプが結構います。自分のことだっ!と思う人は向いてるかも。
SEはトラブルで呼び出される
システムエンジニアは、トラブルが発生すると、緊急で呼び出されることがあります。これもきついとイメージされる要因の1つでしょう。
ゲームなんかでも、緊急メンテナンスで遊べなくなったりしますが、裏側ではシステムエンジニアが奮闘しています。特に24時間365日の稼働が求められる、スマフォやクレジットカードのシステムでは、夜中でもお構いなしです。
緊急連絡先一覧がある
各システムには、問題発生時に備えた、緊急連絡先一覧があります。主に管理職やリーダークラスが対象ですが、ここに登録されると休みの日でも電話が掛かってきたり、現場で解決できない場合は、緊急出動となることがあるのです。
これもSEならではキツさです。
SEは夜勤や休出がある
システムエンジニアは、夜勤や休日出勤があります。これはサービス開始後にシステムをいじる場合、万が一に備えて、利用者の少ない夜中や週末にやることが多いからです。これもきついと感じる人がいるでしょう。
正月やお盆の待機がある
システムの重要度が高い場合、長期休暇中の待機体制を組むこともあります。正月やお盆でみんな一斉に休むのではなく、順番に交互に休んでいくイメージです。自分も元旦出勤を経験しました。笑
もちろん、代休が取れますし、夜勤や休日手当もでます。休みが少ないとうこともありません。ただ、周りからみると、プライベートを顧みず働いているように映り、SEはきついという印象になるのだと思います。
下請けのSEは給料が安い
システムエンジニアが働く、SIer業界はピラミッド構造となっており、下請けになるほど利益率がダウン、そのまま給料も安くなっていきます。これもきついと言われる理由の1つです。
年収が2倍以上も違う
厚生労働省によると、システムエンジニアの平均年収は、30代半ばで500万程度とのこと。ただ、一次請けだと800万〜1,000万に上がり、下請けになると300万〜400万に下がります。ずばり、2倍以上の差があるのです。
自分も800万程いただいてたのですが、会社が違うだけだなと、よく思ってました。実際、技術力や専門知識は、下請けシステムエンジニアの方が高いことも多いです。このあたりの不公平感が”きつい”というワードで表現されていると感じます。
一次請けSEはストレスが大きい
一次請けのシステムエンジニアは、顧客と下請けの板挟みで、ストレスマッハになります。金もらってんだから、と言われたらそこまでですが、割りと禿げるくらいきついです。
いつもペコペコ調整役
一次請けのSEは、基本的に「頭を下げる仕事」と考えています。かなり極端な見方ではあるものの、クライアントの無茶振りを受けて、パートナーにお願いしたり。トラブルが起きたら謝罪に行ったり、プロジェクトが円滑に進むよう、ペコペコすることが多いです。
ここまでの内容をおさらいすると。
システムエンジニアがきつい理由
- 突発的な残業が発生しやすい
- 緊急呼び出されることがある
- 夜勤や休日出勤がたまにある
- 下請けになるほど給料が安い
- 一次請けはストレスが大きい
もしかすると、やっぱりシステムエンジニアはきついんだな、そう思ったかもしれません。ただ、楽な仕事なんて探しても見つからないですし、ちょっと興味がある、やってみたいくらいの気持ちがあれば、飛び込んでみるのもあり。
個人的にはシステムエンジニアになってしまうのが手っ取り早いと思いますが、どうしても自信がない、できるか不安という人は、少しだけ勉強してから目指すのも良いでしょう。
システムエンジニアに向いている人の特徴
SEに向いている人の特徴についてです。
上流SIerのシステムエンジニア
- コミュニケーションが得意
- パソコン・IT系に興味がある
下流SIerのシステムエンジニア
- パソコンやIT系が得意
- コミュニケーションが取れる
2つのパターンに分かれているのは、SIer(システムインテグレータ)業界では、上流SIerと下流SIerで担当する業務内容が大きく異なるから。以下のケースが多いです。
会社 | 規模 | 契約 | 仕事 |
---|---|---|---|
上流SIer | 大企業 | 一次請け | 要件定義・設計 |
下流SIer | 中小企業 | 二次請け | 製造・試験 |
上流は大企業がほとんどで、有名どころだとNTTデータ、野村総研、TISあたり。富士通、NEC、日立などをメーカー系SIerと呼ぶこともあります。それ以外の大多数は下流SIerです。
2つのもっとも大きな違いは、クライアントの窓口になるかどうか。割りと多くの人がシステムエンジニアは、ずっとパソコンと向き合ってカタカタやるイメージを持っていますが、それは下流SIerを捉えていることが多いです。
上流SIerに向いている人
上流SIerは話せれば何とかなる。
上流SIerのシステムエンジニアは、営業とコンサルの中間的な働き方をすることが多く、技術的な知識以上に、顧客や協力会社とスムースに会話ができることが求められます。
実際に10年間勤めた自分は、プログラミングスキルは基礎程度。なんとな〜く読めるけど、コーディングはできないし、システムの全体構成を組み立てられるけど、技術的な細かい部分はかなり弱いです。
ゼネラリストタイプ
上流SIerのシステムエンジニアは、狭く深くのスペシャリストではなく、広く浅くのゼネラリストタイプになります。技術的なところや、専門的なところは、協力会社に任せる(←たまに丸投げと言われる)ことが多いです。
コミュニケーションが重要なのは、新入社員の半数近くが文系であることからもわかります。大学時代に技術を専門で扱った人はもちろんGoodですが、それ以上に円滑なコミュニケーションをとれることが重視されるのです。
下流SIerに向いている人
下流SIerはパソコンが使えればOK。
一般的にイメージされる、システムエンジニアはこちらかもしれません。実際にプログラミンコードを書いたり、つくったものを動かしたり、設計書をつくるなど、システム開発の実装部分を担当します。
スペシャリストタイプ
下流SIerのシステムエンジニアは、広く浅くのゼネラリストではなく、狭く深くのスペシャリストタイプになります。技術的なところや、専門的なところを担当する、ITのプロフェッショナルです。
なんか難しそうだなと感じるかもしれませんが、パソコンさえ使えれば、未経験や知識0でも大丈夫です。ただ、学習意欲とやる気、そして一定の根性が求められます。また、わからないことをググったり、素直に質問できることも大切です。
実際に自分が働いてきた現場でも、30代女性でほぼ未経験という人もいました。先輩や周りにフォローされながら、担当部分のコーディングを頑張っていたのを覚えています。ベンチャーとかでない限り、いきなり全部一人でつくることはありません。実践を通じて、スキルアップしていけばOKです。
システムエンジニアでよくある質問3つ
システムエンジニアでよくある質問です。
- 労働環境がきついって本当?
- 人間関係がきついって本当?
- 年収や待遇が良くないって本当?
この3つについて答えていきます。
SEは労働環境がきつい?
たまにキツいことがある。
システムエンジニアは、担当顧客の近くで働くことが多く、客先に常駐するスタイルもあります。この場合、周りが全員クライアントになるため、完全アウェイで肩身が狭いのです。
いつもど〜んと構えられるハートの強い人ならいいですが、自分のように周りを気にしちゃうタイプは結構疲れます。ただ、基本的に上司や先輩と一緒ですし、逆に結束が強まるので、仕事はしやすいかも。
SEは人間関係がきつい?
普通です、キツくない。
10年ふりかえってみて、人間関係がキツかったのは、初期配属のプロジェクトのみ。体育会系のノリが合わなかったのと、直属上司がロジカルに攻め込んできて、ぶった斬るタイプだったので、キツかったです。
こればかりはどの職種でも同じですね。
SEは年収や待遇が良くない?
年収や待遇は良いです。
システムエンジニアの平均年収は550万円ほどで、全職種の平均450万よりかなり高いです。30代で500万円超えも普通なので、年収や待遇が良くないということはありません。
ただ、仕事以外に勉強が必要になることを把握しておきましょう。特に初めの頃は、自ら進んで勉強しないと、ついていけないことも多いです。この勉強時間をどう捉えるかで、待遇の感じ方が違ってきます。
おさらいすると…
- 客先常駐だと肩身が狭い
- 人間関係はどこも同じ
- 年収や待遇は良い方
システムエンジニアのキャリア設計とは
よし、システムエンジニアになろう。
そんな気持ちになってきた人向けに、システムエンジニアのキャリア設計について、お話しします。どんなキャリアを目指せるのか、将来どんな人材になれるのか、自分の人生に照らし合わせて、イメージしていただければ幸いです。
SEのキャリアプランはこちら。
- プロジェクトマネージャー
- ITコンサルタント・社内SE
- ITスペシャリスト
- フリーランス・独立
大まかにこんなパターンがあります。
王道はプロジェクトマネージャー
もっともスタンダードなのがプロジェクトマネージャーになるルートです。その名の通り、システム開発の全権を握る、リーダーポジションとなります。
PMはいわゆる管理職です
プロジェクトマネージャーは、進捗管理や課題管理、クライアントや協力会社との契約など、プロジェクトが円滑に進むよう、全体を把握しながら進めていく人です。いわゆる管理職のこと。
もっと顧客寄りで仕事がしたい人は、ITコンサルタントになって技術支援したり、クライアンのIT部門(社内SEと呼ばれたりする)で働くルートもあります。
技術系ならITスペシャリスト
技術系を極めるのがITスペシャリストとなります。このルートは入り口から違うケースが多く、システムの基盤部分をつくる、インフラエンジニアからのステップアップが一般的です。
ザ・エンジニアという技術屋
ITスペシャリストは、サーバやネットワークなど、システムの裏側を整える、プロの技術屋さんです。近年ではAIエンジニア、IoTエンジニア、クラウドエンジニアなんかも出てきて、ジャンルは多岐にわたります。
自作パソコンのもっとでっかいのを構築したり、会社のインターネット環境を整備するようなイメージです。AIエンジニアならPepperを動かすアプリをつくるなど、ITスペシャリストは技術に秀でた、ザ・エンジニアになります。
フリーランスとして独立する
プログラミングやWebデザインなど、スキルを身に付けた人は、フリーランスとして独立することもできます。会社に縛られずに生きていく、自由気ままな人生を目指すならこのルートです。
独立しやすいスキル
プロジェクトマネージャーやITスペシャリストより、プログラマーやWebデザイナーの方が独立しやすいです。その理由は、成果物を納品するだけだから。一般的にどこぞの馬の骨だかわからない人をPMにしたり、システムの基盤を任せることはありません。
フリーランスで生きていくには、一人で成果物をつくりあげる、スキルが求められます。システムエンジニアで独立向きなのは、プログラミングやWebデザインあたり。Webマーケティングとかも良いです。
システムエンジニアのキャリアが見えてきたら、プロのエージェントに相談してみましょう。大切なのは自分がやりたいことができるか。会社によって仕事内容が大きく異なるので、事前に確認しておくことがとても重要です。
以上、
システムエンジニアはきついのかでした。
ここまでお付き合いいただき、誠にありがとうございます。少しでもシステムエンジニアに関する、悩みや疑問が解決できたのであれば幸いです。
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