システムエンジニアは人材不足とよく聞くけど本当だろうか。ここまで騒がれてると逆に不安だな。今からSEを目指しても大丈夫なのか知りたい。
SE歴10年の自分がお答えします。
結論から申し上げると、システムエンジニアは不足するものの、先端IT技術に精通するSEが不足するのみ。それ以外のSEは不足どころか余剰になると予測されています。
この展望を把握しておかないと、システムエンジニアになったものの、競争が激化して給料ダウンやリストラに怯えるという、悲しい結末が待っているかもしれません。
SE歴10年の視点からシステムエンジニア不足について考察してみました。少しでも参考になれば幸いです。
システムエンジニアの不足に惑わされるな!
システムエンジニアの不足が騒がれるのは、経済産業省の「IT人材需給に関する調査」によるところが大きく、本調査ではIT人材が2030年までに最大79万人不足するとしています。
ただ、いくつか不安要素があります。
- IT需要の伸びが予測を下回る
- 生産性の上昇が予測を上回る
- 従来→先端への変更率が低い
詳しくみていきましょう。
IT需要の伸びと不足数
IT需要の伸びと不足数の関係は…
IT需要 | 伸び率 | 不足数 |
---|---|---|
高位 | 3〜9% | 78.7万人 |
中位 | 2〜5% | 44.9万人 |
低位 | 1% | 16.4万人 |
- 高位:IPAの企業アンケート
- 中位:高位と低位の中間
- 低位:経済成長準拠(GDP連動)
IT需要の伸びを、経済成長準拠(GDP連動)の低位で予測すると、不足数が79万人から16万人までガクンと下がります。ただ、SEやIT人材が不足することに違いはなく、まだギリギリセーフです。
生産性の上昇と不足数
生産性の上昇と不足数の関係は…
生産性 (上昇率) | 不足 (高位) | 不足 (中位) | 不足 (低位) |
---|---|---|---|
0.7% | 78.7万人 | 44.9万人 | 16.4万人 |
2.4% | 43.8万人 | 16.1万人 | △7.2万人 |
生産性の上昇率「0.7%」は、日本の情報通信業(2010年以降)の数値です。一方「2.4%」は欧米諸国のアメリカ2.2%、フランス2.3%、ドイツ4.2%から算出しています。
そして、生産性の上昇率を欧米諸国同等の2.4%で考えると「IT人材が余るケースあり」と予想されているのです。裏を返すと、現状のIT人材不足は生産性が低いからという、衝撃的なデータでもあります。
キャリア変更と不足数
キャリア変更と不足数の関係は…
(生産性上昇2.4%でみています)
IT需要の伸び「高位」
キャリア変更 | 先端型IT人材 | 従来型IT人材 |
---|---|---|
1% | 53.9万人 | △10.1万人 |
2% | 44.3万人 | △0.5万人 |
IT需要連動 | 26.2万人 | 17.5万人 |
IT需要の伸び「中位」
キャリア変更 | 先端型IT人材 | 従来型IT人材 |
---|---|---|
1% | 38.2万人 | △22.1万人 |
2% | 28.6万人 | △12.5万人 |
IT需要連動 | 10.6万人 | 5.5万人 |
IT需要の伸び「低位」
キャリア変更 | 先端型IT人材 | 従来型IT人材 |
---|---|---|
1% | 25.0万人 | △32.2万人 |
2% | 15.4万人 | △22.6万人 |
IT需要連動 | △2.6万人 | △4.6万人 |
このデータからわかるのは、日本にはたくさんの従来型IT人材がいるものの、不足するのは先端型IT人材なので、多くの人がキャリアチェンジしてくれないと困るということ。
システムエンジニアをはじめとするIT人材は、現状維持のまま従来型を貫くと、将来的に余剰人材となる可能性があります。そのため、生き残りを考えるなら、先端型への速やかなキャリアチェンジが必要です。
ここまでの内容をまとめると…
- SEやIT人材は不足する
- 先端型IT人材は不足する
- 従来型IT人材は余剰となる
システムエンジニアで不足する先端型とは?
SEで不足する先端型IT人材とは何か。
AIやビッグデータ、IoT等、第4次産業革命に対応した新しいビジネスの担い手として、付加価値の創出や革新的な効率化等により生産性向上等に寄与できるIT人材。
このように定義されています。
- AI(人工知能)
- ビッグデータ
- IoT(モノのインターネット)
上記の3つの分野は明記されており、将来が約束されたIT領域とも言えるでしょう。それ以外だと第4次産業革命に関わる分野になります。具体的には次のようなテクノロジーです。
- ロボティクス
- ブロックチェーン(仮想通貨)
- バイオテクノロジー
- ナノテクノロジー
- 量子コンピュータ
- 3Dプリンター
- 自動運転車
- 仮想現実/拡張現実(VR/AR)
最新技術がずらりと並びます。
各分野とシステムエンジニアの関連性については「SEの分野選び!将来性ありの10分野とは」で考察してみました。ただ、自分の不完全な知識より、以下の書籍を読んで、自身で判断する方が確実です。
最新のテクノロジーについて、全てと言えるほど広範囲をカバーしています。また、どんな未来が訪れるのか、実例や技術的な補足を入れながら解説されており、誰にでもおすすめできる一冊です。
システムエンジニアは不足領域を目指そう!
これからシステムエンジニアになる人はもちろん、現役SEの人もなるべく早く、先端IT領域に進みましょう。人材不足が懸念されているのは先端型IT人材のみ。従来型IT人材は余剰となるリスクがあります。
先端型IT人材の職種(参考)
- AIエンジニア
- IoTエンジニア
- ロボットエンジニア
- 機械学習エンジニア
- データサイエンティスト
- ブロックチェーンエンジニア
- VRエンジニア
上から5つは関連性が深く、根幹技術はビッグデータです。そのデータをAI、IoT、ロボティクス、どこで活用するかが異なります。強いて分類するなら、研究者寄りが「機械学習とデータサイエンス」、エンジニア寄りが「AI、IoT、ロボティクス」です。
最初の一歩におすすめなのは…
(何から学べばいいのか迷う人)
- ヒューマンアカデミー:AI入門講座(人工知能)、はじめてのPython講座(機械学習)、IoTエンジニア総合講座など
- TechAcademy:AIコース(人工知能)、Pythonコース(機械学習)、Unityコース(VR/AR/3Dゲーム)など
VRエンジニアは、3Dゲームやアプリの開発、3D空間の構築に関わります。そのためには、UnityやUnreal Engineのゲームエンジンを使いこなせるスキルが必要です。
ブロックチェーン領域に進む場合は、本技術がビットコインのためにつくられた背景を考えると、仮想通貨の知識を深めるところから始めるのが良いでしょう。
以上、
システムエンジニアの不足についてでした。SEをはじめとするIT人材は、2030年までに最大79万人不足と予測されているものの、実際には先端型IT人材が不足するだけで、従来型IT人材は余剰になる可能性が高いです。
そのため、これからシステムエンジニアになるなら、AI、IoT、ビッグデータなどの先端IT領域に進むことをおすすめします。最新テクノロジーに精通した、先端型IT人材を目指しましょう。
最新テクノロジーを知る
最新テクノロジーを学ぶ
- ヒューマンアカデミー:AI入門講座(人工知能)、はじめてのPython講座(機械学習)、IoTエンジニア総合講座など
- TechAcademy:AIコース(人工知能)、Pythonコース(機械学習)、Unityコース(VR/AR/3Dゲーム)など