システムエンジニアは激務と聞くけど、どのくらいヤバいんだろう。残業まみれで働き続けるのはきついし、SEを目指すべきか悩むなぁ。そもそも本当に激務なのか、働いている人に聞いてみたい。
SE歴10年の自分がお答えします。
結論から申し上げると、システムエンジニア(SE)は、それほど激務ではありません。自身が勤めていた2007年から2017年では、後半になるほど残業時間は減り、どんどん働きやすくなっていきました。
本記事では「SEが激務ではない理由」と「SEが激務とされる理由」、矛盾した2つの内容についてまとめ、最後に「SEが激務を避ける3つの方法」をお伝えします。
SE歴10年の視点からシステムエンジニアの激務についてまとめてみました。少しでも参考になれば幸いです。
システムエンジニアが激務ではない3つの理由
SEが激務ではない3つの理由がこちら。
- SEの残業時間は減少傾向あり
- 自身の残業時間は0〜30時間
- 7Kやデスマーチは過去の遺産
1つずつ見ていきましょう。
SEの残業時間は減少傾向あり
SEの残業時間は「14.8時間/月」です。
(令和2年の情報通信産業のデータ)
これは厚生労働省が取りまとめている「毎月勤労統計調査」で公開されています。1日1時間未満と考えたら、そこまで激務な感じはしないでしょう。
SEの残業は減少傾向
さらにSE(情報通信業)の残業時間は減少傾向にあります。少しずつ業界平均の10時間/月に近づいており、SEの長時間労働が改善されてきている、一つの目安です。
これは業種別ランキングをみてもわかります。
西暦 | 1位 | 2位 | 3位 |
---|---|---|---|
2005年~2014年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 製造業など |
2015年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 製造業 |
2016年 | 運輸業・郵便業 | 情報通信業 | 電気・ガス業 |
2017年 | 運輸業・郵便業 | 製造業 | 情報通信業 |
2018年 | 運輸業・郵便業 | 製造業 | 電気・ガス業 |
2019年 | 運輸業・郵便業 | 鉱石・採石業等 | 製造業 |
2020年 | 運輸業・郵便業 | 鉱石・採石業等 | 電気・ガス業 |
■情報通信業の順位 ・2018年は7位 ・2019年は4位 ・2020は4位 |
システムエンジニアの働く、情報通信業の残業順位は、2005年から2016年までずっと2位でしたが、2017年に3位となり、2018年から2020年までは4位以下で安定しています。
真の激務は運輸業・郵便業ですね…
自身の残業時間は0〜30時間
自身のSE時代をふりかえると…
年度 | 平均 | 最大 |
---|---|---|
2007〜2011年 (1〜5年目) | 30時間/月 | 80時間/月 |
2012〜2016年 (6〜10年目) | 10時間/月 | 30時間/月 |
入社1〜5年目こそ、MAX80時間の残業があり、これぞ激務のSEという感じだったものの、過労死が騒がれた2013年前後から劇的に改善されました。それ以降、残業は1ヶ月10時間ほど、体感的にもかなり緩かったです。
また、現在は働き方改革も進み、より働きやすくなってきています。因みにヤバいところには労働基準監督署のガサ入れがきて、ブラックが明らかになると、管理職は一発アウトで退場となります。
ブラック企業を調べられる時代
厚生労働省は、2017年より労働基準関係法令違反に係る公表事案にて、法令違反の企業名を公開しています。激務が気になる人は、労働基準法第32条をチェックすればOK。ブラック企業は一目瞭然です。
7Kやデスマーチは過去の遺産
システムエンジニアが激務という印象は、7Kやデスマーチを引きずっているからです。この2つの破壊力が凄まじすぎた結果、SEにブラックのイメージが定着しまったと考えられます。
システムエンジニアの7K
7Kはシステムエンジニアの劣悪な労働環境を揶揄したもの。一般的には3K(きつい、帰れない、給料が安い)でも厳しいところ、さらに4K(規則が厳しい、休暇がとれない、化粧がのらない、結婚できない)が追加されました。
SEのデスマーチ
デスマーチは、長時間労働や残業・徹夜・休日出勤が常態化した、炎上プロジェクトのこと。スケジュール遅れや人員不足などを、現存メンバーで強引に解決しようとしている状態です。
どちらも過去には実際あったものですが、現在は遺産となっています。自身もデスマプロジェクトを経験していますが、2010〜2012年を最後にデスマーチには出会っていません。
また、当時の自分をふりかえると…
- 何が起きても絶対に納期を守る
- 顧客に指摘されたら忠実に従う
- 人手不足でも気合いで乗り切る
- 自分一人頑張ってなんとかする
- みんな残業してるから当たり前
こんなマインドで働いてました。会社を辞めて気づいたのは、激務やデスマの背景には「真面目すぎる日本人」の特性が関係していること。良い意味で会社に従順、悪い意味で会社に逆らえない、これだといいように扱われます。
決して不真面目に働け!ということではなく、会社に依存しない、いつクビになってもOK、その状態を目指すべき。そのためには、自身の市場価値を高め、いつでも転職できるよう構えておくことが大切です。
システムエンジニアが激務とされる3つの理由
SEが激務とされる3つの理由がこちら。
- コントロール不可なことが多い
- 顧客に振り回されることが多め
- トラブルで緊急呼び出しがある
上から順に激務との関連性が強いです。
1つずつ詳しくみていきましょう。
コントロール不可なことが多い
SEがもっとも激務になりやすい理由は、顧客やプログラマーを通して進める仕事が多く、自分のコントロール領域が狭いから。自分で決められない、自分でできないことが多いのです。
決められない(顧客調整系)
- スケジュールを決める
- システムの仕様を決める
- システムの設計を決める など
できない(プログラマー調整系)
- 期間内にプログラミング
- 仕様通りにコーディング
- 設計通りか試験・バグ修正 など
例えば、顧客が期限までに決めてくれない、プログラマーの作業が期間内に終わらないなどです。これらは自分がどれだけ頑張っても解決することができません。
ここまでなら良いのですが、その責任の多くは「SEの調整不足」として扱われます。つまり、コントロール領域が狭いのに、責任範囲は広いのです。このストレス過多になりやすい立場こそ、SEが激務とされる最大の理由でしょう。
顧客に振り回されることが多め
先の理由に似たり寄ったりですが、SEは顧客に振り回されることが多いです。システム開発を生業にするSIer(システムインテグレータ)は、お客様あっての仕事であるため、顧客に頭が上がりません。
特に顧客がITに詳しくないと、最初はSEさんにお任せで進むものの、後半でシステムができてくると、あぁしたい!こうしたい!の要望が出てきます。これに振り回されると激務になってしまうため、上手くかわすのもSEのお仕事です。
トラブルで緊急呼び出しがある
SEはシステムトラブルが起こると、緊急で呼び出されたり、電話がかかってきたりします。勤務時間外で仕事しなければならず、これも激務と騒がれる理由の一つでしょう。
システムエンジニアが激務を避ける3つの方法
最後にSEが激務を避ける方法です。
- 社内SEになる
- フリーランスになる
- 起業家・経営者になる
この3つを提案します。
詳しくみていきましょう。
社内SEになる
社内SEになると激務を回避できます。
- 社内SE → 顧客が自社である
- 企業SE → 顧客が他社である
社内SEの仕事は、自社システムの開発や運用になるため、顧客相手の仕事ではありません。そのため、SEが激務になりやすい最大の理由である、コントロール不可なことが多いを避けることができます。
企業SEからみると、今まで顧客だった相手こそ、社内SEの一人。ど〜んと構えていたゴッドポジションに入ることになります。転職で人気なのは、SIerで疲弊したシステムエンジニアにとって、安息の地に見えるからでしょう。
フリーランスになる
フリーランスも激務を回避できます。
- 自由度:★★★★★(全て自由)
- 安定度:★☆☆☆☆(安定ゼロ)
- 激務度:★★★☆☆(自分次第)
フリーランスとして独立すると、仕事量、仕事時間、仕事内容など、全て自由に決めることができます。その一方で、自分が働いた分しか収入が得られないため、会社員のような安定感はありません。
そのせいか、意外とフリーランスも激務の人が多かったりします。ただ、自分の意志で働いている、好きで働いている人がほとんど。やらされ感がない分、激務でも気にならないのがGoodです。
起業家・経営者になる
起業家や経営者も激務とは無縁です。
例外的なパターンですが、激務だからと言ってられる立場ではなくなります。また、ベンチャーやスタートアップでは、激務がきついというより、激務が楽しいと考える人が多いです。
激務が楽しいと感じる理由
SEに限らず激務を楽しめるかは、会社のためと考えるか、自分のためと考えるかの違いです。具体的には自己成長にコミットしたとき、その仕事を楽しいと感じます。これは会社員10年を経て、退職後に気づいたことです。
以上、
システムエンジニアは激務なのかでした。
どんな仕事でも繁忙期や閑散期があり、激務と感じるタイミングがあるでしょう。それこそ、公務員の友人がブラック労働を強いられている話を聞いたときは驚きました。
全ての仕事は忙しいもの、その前提で考えれば、激務は気にならないかもしれません。どちらかというと、仕事そのものを楽しめるか、自己成長できるか、スキルが身につくかが大切だと思います。
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