自由に働けるフリーランスに憧れるなぁ。このまま会社員SEを続けるか、フリーランスSEを目指すか、どっちがいいんだろう。
こんな人向けに書いてみました。
結論からお伝えすると…
SEはフリーランスになりやすいです。
特にプログラミングやインフラ周りの経験やスキルがあれば、サクッと仕事が見つかるでしょう。数は減るものの、マネジメントやコンサルの仕事もあります。
本記事は実際にフリーランスSEを目指し、3つのエージェントと面談し、企業とも面接をしてみたものの、最終的に働くことを断念したワタクシの気づきや学びをまとめたものです。
一番伝えたいのは、リスクをきちんと把握しておくこと。「マージン」と「商流」の2つの項目は、契約前に必ずチェックしておきましょう。
フリーランスSEのエージェントとは
フリーランスSEのエージェントとは、自分の代わりにエンジニア向けの案件を探してきてくれる、お仕事紹介サービスです。
いざ、フリーランスSEになろうにも、仕事がないことにはどうにもならないので、多くの人はこのエージェントサービスを利用することになります。
最良は個人契約だけど難しい
今までの実績やコネクションを活かし、自ら営業して仕事を取ってくることができれば、エージェントを利用しなくてもOK。ただ、とても難易度が高いです。
転職エージェントとの違いを知っておこう
ここで押さえておきたいのは、転職向けのエージェントと、フリーランス向けのエージェントの違いです。これを知らないまま利用すると、いい感じに搾◯されてしまうのでご注意ください。
項目 | 転職エージェント | フリーランスエージェント |
---|---|---|
利用者負担 | なし | あり |
企業負担 | あり | あり |
手数料支払い | 企業 | 企業・個人 |
最大のポイントは、利用者側の負担です。サービス利用料はどちらも無料がほとんどですが、フリーランスエージェントは、マージンという形式で手数料を払うことになります。
転職との比較でわかるマージンのこと
マージンについて詳しくみていきます。
転職エージェントのマージン
まずは馴染みのある転職エージェントからですが、転職時のマージンを払うのは企業さんです。一般的に内定者の年収の30〜35%と言われています。
内定者Aさんの年収とマージンはこんな感じ。
- 年収1,000万 → 300万を”企業”が払う
- 年収800万 → 240万を”企業”が払う
- 年収500万 → 150万を”企業”が払う
はい、企業がものすご〜い負担しているのがわかりますね。一方で内定者Aさんの負担はゼロ、一銭も払うことなく、働き始めることができ、働き続けることができます。
フリーランスエージェントのマージン
フリーランス向けのエージェントでは、マージンを払うのは個人です。一般的に企業からの発注額の20〜30%と言われています。
内定者Aさんの発注額とマージンはこんな感じ。
- 発注額1,000万 → 200万を”個人”が払う
- 発注額800万 → 160万を”個人”が払う
- 発注額500万 → 100万を”個人”が払う
※月契約で払い続けるケースが多い
はい、個人がものすご〜い負担しているのがわかりますね。そして、気をつけなければならないのは、この発注額とマージン率がわからないまま、契約を結んでしまうパターンです。
エージェントに企業からの発注額とマージンの公開義務はないようで、実際に非公開のところが存在します。完全に個人的な観点ですが、どうにも情弱ビジネスに見えてしまいます。
もちろん、営業等々を代行していただくので、マージンを払うことは必要でしょう。ただ、非公開は対等な関係とは言い難いです。
フリーランスSEは商流にも注意
フリーランスでもSEやエンジニアは、商流にも気をつけましょう。SIer業界やITゼネコンを理解されている方ならご存知だと思いますが、システム開発は中間搾◯っぽいビジネスモデルとなっています。
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
フリーランスSEを断念した理由
以下、実際にあった話です。
- 担当エージェントから仕事を紹介される
- 書類通過したので面接に進むことになる
- イメージとは異なるフワッとした面接
- 顧客との面接に進んでくれと依頼あり
ここでピ〜ンときちゃった人、3番の面接の意味がわかっちゃった人がいるかもしれません。
おそらく、これは中抜き調整です。
顧客との間に強引に1社挟む
顧客 ⇔ エージェント ⇔ 自分
顧客 ⇔ A社 ⇔ エージェント ⇔ 自分
このときの3番の面接は、顧客は若めの女性2名、担当エージェント1名、自分の4名だったのですが、とにかく内容がふわふわしていて具体性がなく、よくわからないまま終了しました。
以下、終わったあとに気づいたこと。
- 顧客とエージェントが親しすぎる
- 常駐先のことをフワッと説明される
- 業務内容の詳しい説明はほとんどない
- 社名を名乗った気がしたが聞き取れない
その後、すぐに担当エージェントから次の面接に進んでほしいと連絡がきました。
が、何かがおかしい!と感じて、面接していただいた方の社名を伺ったところ、商流やコンプライアンスの関係で開示できないと拒否。これはヤバいと感じ、フェードアウトしました。
これもエージェントが契約情報(マージンや商流)を非公開で扱えてしまうのが根本原因です。
本件は個人的な推測が入っています、ご了承ください。あのまま働いていたとしても、ほぼ偽装請負で黒に近いグレー。これを抜けられる方法があるのかはわかりません。
偽装請負(ぎそううけおい)とは、日本において、契約が業務請負、業務委託、委任契約もしくは個人事業主であるのに実態が労働者供給あるいは供給された労働者の使役、または労働者派遣として適正に管理すべきである状況のことである。
出典: ウィキペディア(Wikipedia)
フリーランスSEは下請企業と同じ
ずばり、エージェントを介して働くフリーランスSEは、大企業SIerからアウトソーシングされた、中小企業SIerからアウトソーシングされた、零細企業のSEとほぼ同じです。
フリーランスSEは、会社が守ってくれない分、零細企業SEより立場が弱いかもしれません。
以上、
フリーランスSEが契約前にチェックしておくべき2つの項目についてでした。
エージェント利用時の注意点
- 「マージン」を必ずCheckしよう
- 「商流」を必ずCheckしよう
- 「契約」を必ずCheckしよう
フリーランスは自分の身を自分で守ることが大切です。エージェントと対等な関係を築くには、契約関連はもちろん、経理や総務などの知識も必要になります。
もちろん、優良なエージェントも存在するので、しっかりと見極めて利用すると良いでしょう。