運用監視オペレーターをやろうかな。IT業界で働きたいけど、未経験だから自分にできそうな仕事はこれくらい。でも良くない話も聞くし不安だな。
こんな人向けに書いてみました。
自身は運用監視オペレーター5ヶ月、システムエンジニア10年を経験し、現在はフリーランスで活動中です。IT業界やシステム開発・運用を担うSIerについて、実体験を踏まえたリアルな話をお届けします。
結論から申し上げると、運用監視オペレーターは、IT業界の入り口として使えるものの、長期で働く仕事ではない、というのが個人的な結論です。早ければ1年以内、遅くとも3年以内に、キャリアアップすることをおすすめします。
運用監視オペレーターはその名の通り、エンジニアというよりオペレーター。専門性を高めるにはエンジニアへのステップアップが必須です。
運用監視オペレーターってどんな仕事?
- システムをまもる人 → 運用監視オペレーター
- システムをつくる人 → システムエンジニア
運用監視オペレーターは、システムをまもる人です。因みにシステムをつくるのは、システムエンジニア。つまり、SEのつくったシステムが正常に動き続けるよう、日々見守っているのが運用監視オペレーターになります。
運用監視オペレーターは、システムオペレーター、略語でSYSOPと呼ばれることもありますが、仕事内容は同じです。参考までにテレフォンオペレーターは、コールセンター業務なので、全く仕事内容が違います。
具体的な仕事内容は…
- システムの点検
- 定常処理の実行
- 故障時の一次対処
- 入館者の受入対応
- 365日24時間の待機
ざっくり概要を説明していきます。
システムの点検
システムの点検は、コンピューターに異常がないか、チェックする作業です。運用監視オペレーターは、目視で機器そのものに異常がないか、モニターで異常を検知していないかを確認します。
スケジュール通りにやる
運用監視オペレーターの仕事は、作業時間はもちろん、日次、週次、月次、年次のスケジュールが完全に決まっています。基本的にルーティンワークです。
定常処理の実行
定常処理の実行は、システムを動かす作業です。システムは全てを自動制御することが難しく、一部分だけ手動制御が残ってしまいがち。それを運用監視オペレーターの作業で補っています。
マニュアル通りにやる
ちょっと難しそうと感じたかもですが、全てマニュアルが用意されているので大丈夫です。逆に運用監視オペレーターは、マニュアル以外のことは禁止。ロボットのように正確な動きが求められます。
故障時の一次対処
運用監視オペレーターの仕事で、もっとも難易度が高いのが、故障時の一次対処です。とはいえ、こちらもマニュアル通りにやるだけ。場合によっては、システムエンジニアと連絡を取りながら作業することになります。
入館者の受入対応
運用監視オペレーターは、システムの関連機器が置かれている、データーセンターで働きます。ここはセキュリティが厳重で、関係者以外は立ち入り禁止です。入館には事前申請が必要で、その受入対応を行います。
365日24時間の待機
運用監視オペレーターが楽といわれる所以は、仕事内容に待機が含まれているからです。システムは正常に動き続けているのが当然なので、数分で終わるルーティンワーク以外は、ボケーっと座っているだけになります。
ガチでやることがない
セキュリティルームで仕事をするため、スマホの使用やネットサーフィンはできません。やれるのは、駄弁る、瞑想する、寝る、本を読むくらい。暇すぎて辛いと感じるほどです。
ここまでの内容をおさらいすると…
運用監視オペレーターとは
- システムをずっと見守る人
- マニュアル通りにやる仕事
- スケジュール通りにやる仕事
- 決められたこと以外はやらない
- 仕事内容に待機が含まれていて楽
運用監視オペレーターの良いところ
運用監視オペレーターの良いところは…
- 未経験でも仕事ができる
- 学歴不問で仕事ができる
- シフト勤務で残業がない
運用監視オペレーターは、IT業界と関わったことのない未経験者はもちろん、パソコンを使えない人でも仕事ができます。実際、自身の同期2人は、寿司屋と家電販売員からの転職でした。
また、学歴も不問です。当時の勤務先だと、正社員や派遣を問わず、大卒は0で専門卒が数人、ほとんどが高卒でした。善し悪しは置いといて、ややワケありの人が多い印象です。
プライベートの時間を確保できる
運用監視オペレーターは、交代制のシフト勤務なので、残業がほとんどありません。自身のケースだと、5ヶ月で4日のみ、全て30分でした。
運用監視オペレーターは、プライベートの時間を確保しやすいので、次のキャリアまで割り切って働くのもあり。自己成長にフルコミットすれば、早々にステップアップできるでしょう。
運用監視オペレーターの残念なところ
運用監視オペレーターの残念なところは…
- 夜勤ありで体を壊しやすい
- スキルがほぼ身につかない
- IT業界の中では年収が低い
運用監視オペレーターは、仕事そのものが楽でも、夜勤があるのがキツいです。自身は大学時代にホテルスタッフで夜勤を経験しており、ある程度は覚悟をしていたものの、30代の身体には相当厳しいものがありました。
参考までに当時のシフトはこちら。
- 日勤:8:30〜16:30
- 日勤:8:30〜21:45
- 日勤:16:00〜21:45
- 夜勤:21:30〜翌9:00
- 夜勤:21:30〜翌9:00
- 休み:明け日+2日間
これを延々と回します。土日祝はもちろん、お盆や正月なども関係なし。ただ、作業ボリュームが少なく、1人抜けてもチームでカバーできるため、年休は取りやすいです。
IT初心者からの脱出でゴール
運用監視オペレーターは、マニュアル通りやるだけなので、スキルがほぼ身につかないです。そのため、パソコンの端末操作や、CUIと呼ばれるコマンド操作に慣れたらゴール。それ以上を求めるなら転職となります。
ITの完全初心者でも、1ヶ月程度あれば、仕事の8割はこなせるでしょう。運用監視オペレーターは、0から1の経験を積むには良いものの、そこで成長が止まってしまうのが残念です。
次は年収について見ていきます。
運用監視オペレーターの年収はどのくらい?
運用監視オペレータは年収430万円くらい。
正確な数字は分かりませんが、自身の勤務先ではその程度だったと考えられます。IT業界(情報通信業)の平均年収611万円より低く、全業種の平均年収433万円とほぼ同じです。※国税庁の民間給与実態統計調査より
ざっくりの算出根拠はこちら。
- 派遣社員の月収 → 25万円
- 派遣会社の手数料 → 30%
- 同一労働同一賃金制の前提
月収:25万 ÷ 70% ≒ 35.7万円
年収:35.7万 × 12ヶ月 ≒ 428万円
運用監視オペレーターは、夜勤ありで体力面の負担が大きいものの、一般的な事務職などと比べ、給与待遇は良いと言えるでしょう。
ステップアップで高収入を目指せる
運用監視オペレーターやシステムエンジニアが働く、情報通信業の平均年収は611万円です。伸び代が200万円もあると考えれば、ステップアップで高収入を目指せるのも頷けます。
運用監視オペレーターになるときの注意点
運用監視オペレーターは、IT完全初心者の0から1への歩み、未経験からIT業界へ入るのに利用して、その後はなるべく早く転職することをおすすめします。
先の繰り返しになりますが、夜勤が体力的に厳しいのと、1ヶ月程度で成長が止まるので、長期で働く仕事ではないというのが、個人的な結論です。
予定1年のところ5ヶ月で退職
自身は1年働く予定でしたが、5ヶ月で切り上げました。もともと独立への時間稼ぎで働き始めたこともあり、個人事業が軌道に乗ってきたタイミングで、早々に撤退しました。
次に具体的なキャリアパスを見ていきます。
運用監視オペレーターからのキャリアパス
運用監視オペレーターのキャリアパスについて、もっとも定番なのはインフラエンジニアへのステップアップです。次点でプログラマー、システムエンジニアになります。
- 第一候補:インフラエンジニア
- 第二候補:プログラマー
- 第三候補:システムエンジニア
運用監視オペレーターは、マニュアル通りとはいえ、サーバやネットワークの状態確認、データベースの更新処理など、システムの基盤部分に触れる機会が多いため、インフラエンジニアと相性が良いです。
IT系・基盤系の資格で有利になる
運用監視オペレーターからステップアップする際、IT系や基盤系の資格が1つあると有利になります。ただ、時間を掛ける必要はなく、難易度の低いものでOK。というのも、学習意欲があることをアピールするだけだからです。
いくつかピックアップすると…
- ITパスポート / 情報処理技術者
- AWS認定 / Cloud Practitioner
- ORACLE MASTER / Bronze
- LinuC(リナック)/ レベル1
- CompTIA Cloud+(コンプティア)
ITパスポートが国家資格、それ以外がベンダー資格の位置付けになります。特別なこだわりがなければ、ITパスポートで良いでしょう。IT関連の知識について、網羅的に学ぶことができます。
夜勤しながらの勉強なので、スマホで学べるオンライン講座、スタディングなどを利用すると、最短かつ挫折せずに合格を目指せます。もちろん、独学でも合格可能です。
運用監視オペレーターになるときは、次のキャリアを考えておき、期間限定で働くことをおすすめします。因みにパソコン操作ができ、やる気と根性があれば、プログラマーからのスタートも可能です。
運用監視オペレーター以外の選択肢もあり
運用監視オペレーターは、IT業界未経験の人が目指せる、唯一の選択肢ではありません。年齢にも寄りますが、プログラマーの採用は未経験OKも多いです。
実際、自身がシステムエンジニアで働いていた頃、30代女性でほぼ未経験というプログラマーさんがいました。先輩や周りにフォローされながら、頑張っていたのを覚えています。
転職保証付きスクールの利用もあり
近年はIT技術者を増やすべく、厚生労働省も協力しており、転職保証付きのプログラミングスクールが増えてきています。DMM WEBCAMPなら転職成功率98%、給付金制度で最大70%の割引を受けられます。
以上、
運用監視オペレーターのあれこれでした。
おさらいすると…
運用監視オペレーターとは
- システムをずっと見守る人
- マニュアル通りにやる仕事
- スケジュール通りにやる仕事
- 決められたこと以外はやらない
- 仕事内容に待機が含まれていて楽
運用監視オペレーターの良いところ
- 未経験でも仕事ができる
- 学歴不問で仕事ができる
- シフト勤務で残業がない
個人算出になりますが、年収も430万円くらいと、比較低高いのも魅力です。ただ、夜勤があるので体力的に厳しく、なるべく早く次のキャリアに進むことをおすすめします。
その際、ITパスポートなどの資格があると有利です。また、パソコン操作ができ、やる気と根性があれば、運用監視オペレーターではなく、プログラマーからキャリアを始めることもできます。
将来に向けてスタートを切る
- スタディング:スマホで学べるオンライン講座【ITパスポートの資格取得】
- DMM WEBCAMP:転職保証付きのプログラミングスクール【転職成功率98%】